敷地の草木も紅葉の始まった10月、外壁が貼られた。
その頃、外壁の色を決めてくれと見本を渡された。
そして実際に見本を持って現地で実物を見ながら、どれにするかを決めた。
決めたのはアイアンレッド。上の写真の右端の真ん中。
いやみの無い赤い色が周囲の緑と合いそうだった。
それを建築士さんにメールすると、軽井沢の条例にひっかかるので別の色にしてくれという。
レッドオークはどうかと言われ、それにしてもらうことにした。
(上の写真の右から2番目の真ん中)
軽井沢には軽井沢町自然対策要綱というのがあって、町の景観を守るための建物に対する厳しい規制がある。この町に引っ越してきたのもこの規制があるからで、基本的には賛成だ。ある程度の規制があったはずの京都でもコンクリートのビルだらけになってしまったように、厳しい規制がないとこの軽井沢も大切な景観を失ってしまいかねない。
ただアイアンレッド程度の赤がダメだとすると日本の伝統色である神社の朱色や商家が好んで使った紅殻色もダメということになってしまう。
最近、軽井沢警察署の隣に大きなドラッグストアができたが、ここなどは焦茶色ベースの色が使われ、規制の完全な範囲内だと思うが、この人工的な焦茶色は見るたびに何だかいやーな気持ちになる。
色彩は個人によって好みがかなり別れると思うので、地味なこの色が好きだという人もいるかもしれないが、人工物に塗る色はある程度の明るさというものが、必要なのではないかと考えている。もちろん原色ばかりなのは目がくらむが、暗すぎる色しか使えないと、見る人間の気持ちも暗くなってくる。
町の規制としては人によって判断が異なっては困るので、きっちりとした範囲を示すのは必要なことだが、いまの判断基準はどういう根拠で採用されたのだろうか。
人がどういう色を好むのかという科学的な統計調査をもとに採用したのであれば、自分が少数派ということになるのだろうから、納得できるのだが。